関東・東北豪雨で飯舘村と南相馬市の川が氾濫し、農地除染で出た汚染土壌などを入れた大型の袋が流出した問題で、環境省が全体の流出量を把握できていなかったことが分かり、同省のずさんな管理体制が問われている。作業日報などの調査はいまだ難航しており、見つかった袋の数は当初の推定を上回るなど、見通しの甘さも露呈した。県民の不安払拭(ふっしょく)に向け、今後の再発防止と信頼回復が急務だ。 

 ◆濁流が直撃

 「流出した袋を全て回収し、現場の管理を徹底してほしい」。除染で出た土壌や草木を入れた「フレコンバッグ」と呼ばれる袋の流出が発覚した11日、県は環境省に強く申し入れた。しかしその後の調査では要請を裏切る事態が相次いだ。流出した袋は24日現在、未使用分を含め448袋で、うち大半の437袋は飯舘村で見つかった。村は2017(平成29)年3月までの避難指示解除を目標としており、除染作業は待ったなしの状況。除染が済んだ農地には、村内の仮置き場への輸送を待つ袋が一時的に置かれている。豪雨で氾濫した新田川などの濁流が、これらの袋を直撃した。

 同省は、作業日報や聞き取りから、流出した量を395袋と推定。しかし、最終的に見つかった袋はさらに増えた。同省は「袋数を記入していない日報もあった」とし、流出量の正確な把握は困難な状況だ。回収が困難な袋も36袋あり、望月義夫環境相は全ての袋を回収することを断念した。17日には、南相馬市の山中に袋の調査に入った5人の遭難事故も起きた。急な斜面で体力を奪われたことが原因だが、同省は「地形の確認が不十分で、安全第一との指示も行き届いていなかった」と不備を認めた。

 ◆体質を指摘

 問題を受け、同省は台風が迫る際に袋を高台に移したり、袋同士をロープで結び付けるなどの対策を取る方針。ただ、県内のこのほかの直轄除染地域では、川の近くにどの程度の袋が一時的に置かれているかについて「浸水エリアの特定を急ぎたい」と述べるにとどめている。除染をめぐっては、今回の件以外でも、環境省の対応に不安が高まっている。「地元目線が足りない」と環境省の体質を指摘する声もある。ある県関係者は「今回も環境省の悪い部分が出た」とため息をつく。

 ◆対応に不信感

 中間貯蔵施設の用地交渉は難航し、大熊、双葉両町からは不満の声が上がる。施設の本格稼働時期が見通せない中、南相馬市では民有地に整備した仮置き場の一部を地権者に返還せざるを得なくなった。汚染土などを入れた袋の一部は耐用年数の3年を超えて使用されているが、環境省が袋の詰め替えなど抜本的な対策に移る気配はない。飯舘村の自営業男性(69)は流出後の一連の同省の対応に不信感を抱き「中間貯蔵施設の用地交渉も除染も信頼関係が前提。きっちり対応してほしい」と求める。